新盆を迎える皆さまへ
~お盆の過ごし方~
“昔も今も、お盆は、家族の絆を確かめ、深める年中行事です!”
逗子では、明治六年(一八七三年)一月一日の新暦採用後、それまで和暦(旧暦)の七月十五日を中心に行われていたお盆を月遅れの八月に行うようになりました。またそれ以前から、ほぼ一カ月の間、七夕や夏祭り、盆踊りなど、さまざまな行事が行われていました。以下、お盆の過ごし方の参考にして頂ければ幸いに存じます。
八月一日 ―おついたち―
正式には、釜蓋朔日 (かまぶたのついたち)といい、この日からお盆が始まります。
地獄の釜のフタが開く日であるともいわれ、先祖様が、あの世からこの世へ出発する日であるとして、この日にお墓掃除とお参りをして、お盆の準備をはじめます。
―お施餓鬼法要―
八月一日 : 観藏院 八月七日 : 神武寺
お盆の前後に、お施餓鬼法要が行われます。
代表者が施餓鬼法要に参加し、法要後、卒塔婆を持ってお墓参りをします。
新盆(初盆)の家では、家族や親戚、故人と親しかった知人がそろって、法要へは喪服で参加します。親類や知人は、当日までに盆提灯やご仏前、掛け袋などを新盆の家へ届けます。施主の家では、御斎(おとき)を用意して、集まった親戚や知人にふるまい、ともに食事をしながら故人を偲びます。
―掛け袋(かけぶくろ)―
掛け袋とは、新盆にお招きしたほとけ様にお持ちいただく道中支度です。里帰りしたほとけ様は、菩提寺へお参りしてから旅立つということで、施主や親族が施餓鬼法要にあわせて寺に奉納します。逗子近辺の一般的な掛け袋の内容は次のようなものです。
①お米 一升
木綿を三角の袋状にしてその中にお米を入れて縫い閉じます。
三角袋には、施主の名前と戒名を書いておきます。
②おひねり
半紙で包みます。道中のお小遣い銭です。
③草履
新しいものを用意して、これを履いてお帰りいただきます。
④白扇子 道中は暑いので涼をとってもらいます。
⑤麻ひも 道中はとても長いので履物が切れたら直していただく為です。
①から④の品を⑤麻ひもでまとめて結わきます。
ご親戚は、掛け袋代としてお金でお供えする方もいます。
※掛け袋やお盆の飾り方の詳細につきましては、鎌倉や横須賀の仏具店あるいは、寺までお気軽にお尋ね下さい。
※ご希望により、ご自宅への訪問読経(棚経)も行なっています。
八月十日 ―四万六千日詣り―
四万六千日詣りは、七月十日の東京の浅草寺のほおずき市で有名です。観音様の縁日でこの日に参拝すれば、四万六千日参詣したのと同じ功徳があるというもので、逗子付近では、月遅れで行い、新盆の家では、三年間、八月十日の早朝に次の四観音と一地蔵をお参りする習慣があります。これは、新盆を迎えるほとけ様のために、一日で参詣出来る坂東札所四ヶ寺と、この日が縁日である黒地蔵様を参詣して供養するものです。
四観音 ・坂東一番 杉本観音 杉本寺 (鎌倉市浄明寺)
・坂東二番 岩殿観音 岩殿寺 (逗子市久木)
・坂東三番 田代観音 安養院 (鎌倉市大町)
・坂東四番 長谷観音 長谷寺 (鎌倉市長谷)
一地蔵 ・黒地蔵 覚園寺 (鎌倉市二階堂)
八月十三日~十六日
十三日までにご先祖様をお迎えする準備を済ませます。家の中やお仏壇をきれいに掃除し、精霊棚を作ります。精霊棚とは、先祖の霊を迎え供養する所で、本来は仏壇とは別に作りました。家庭によって、それぞれのおもてなしがあるように、お盆の飾りも家によって当然異なりますが、一般的には、小さな机の上に真菰(まこも)の筵(むしろ)を敷き、その上に本尊様、位牌、仏器を安置し、ほうずきや草縄、精霊馬(茄子と胡瓜で作る牛馬)、ミソハギ、水の子(ナスやキュウリをさいの目切りにして洗米をまぜたもの)、閼伽水(あかすい)などを飾ります。
準備を済ませて、十三日の夕方には、玄関の近くに提灯を灯し、馬を出して迎え火を焚きます。
十四、十五日はお膳を供えたり、様々なおもてなしをします。
十五日の日没後、もしくは十六日の日が昇る前に、提灯に火を灯し、牛を出して送り火を焚き、先祖を送ります。ちなみに、お迎えの馬は、早くいらしてほしい、お送りの牛はゆっくり、たくさんのおみやげをもってお帰り願いたいとの気持ちを表わしたものだそうです。
八月十六日 ―精霊おくり― 於 : 逗子海岸
※ 諸般の事情により 令和6年より 開催中止となりました
京都の大文字焼きは送り火の行事として有名ですが、逗子では戦前まで、お盆が終ると精霊馬などを真菰に丸めて海岸から海へ流す風習があったそうです。これをうけて戦後まもなく、市内の寺院によって「精霊流し」が行われていましたが、諸般の事情により、令和6年より開催中止となりました。